チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2017年12月25日
<続報>ンガバの焼身抗議者は死亡、身元判明
生前のコンペ。
12月24日付ダラムサラ・キルティ僧院プレスリリースによれば、23日、現地時間午後6時頃、アムド、ンガバ(四川省アバチベット族チャン族自治州アバ)にあるキルティ僧院の前で中国政府に対する焼身抗議を行ったチベット人の名はコンペ(དཀོན་པེ། )、年齢は30歳前後という。
焼身中のコンペを写したビデオには大きな火柱となり前へ進む彼とともに、「ダライ・ラマ法王のご加護を。慈悲の目を向けたまえ」と泣き声で唱える女性の声が入っている。
彼はその後、警察によりバルカムの病院に運び込まれた。それが夜10時頃という。そして、翌日早朝5時頃に亡くなったという。遺体はすぐに火葬され、家族が呼ばれ、「これが遺灰だ」というものを渡されたという。父親のギャキャップはクンペのためにかかった医療費数万元を払えと命令され、現在バルカムの警察で拘束されているという。
コンペは父ギャキャップ、母ティンドクの子、兄弟姉妹は5人。内一人はキルティ僧院僧侶。彼は幼少時キルティ僧院の僧侶であったが、後還俗している。1年前にメルルマ郷第二村のラワ家の娘ケルサン・ラモと結婚し、養子入りしていたという。
24日、25日の両日、ンガバ市内のチベット人の食堂や商店はコンペを追悼するためにすべて閉店し、連帯を示したという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)